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いいことは、ろくでもないことと表裏一体をなしています。言い換えれば、悲惨さの中にも笑いや希望は残されている、ということです。(p.19)

テレビを点ければ、今日も芸能人やら会社社長やらの謝罪会見。ネットのコメント欄は批判ばかり。新聞、雑誌もみな似たような状況です。絶対的な正しさや、あるべき姿があって、それに反した者には容赦なくバッシングを行う。自己責任論ばかりがクローズアップされ、社会は閉塞感に包まれる・・・言いすぎかもしれませんが、どうにも息苦しい状況であることは確かです。

そんなときふと、1冊の本を見つけました。本の帯には「人は必ず誰かに好かれ、必ず誰かに嫌われる。」との記載が。著者である曽根綾子さんご自身の経験談と、現代を生きる上でのヒントが書かれており、ぜひ参考にしたいと強く思ったのです。という訳で、ちょいとご紹介致します!




・一面だけ見ることの弊害

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 photo credit: SonOfJordan via photopin cc 


いじめの原型を見たかったら、今のマスコミを見たらいいくらい。叩くことに決めたら、とことん叩くでしょう。どんな叩くに値する人にも、面白いところはあるし、どんな立派な人にも変なところがある。そうした部分があるだろうということにおそれも持たず、書いても筆力の不足からか書き切れていないし、長く時間をかけて調べる気もないみたいです。(p.78)


マスコミの筆力については定かではありませんが、叩くときの徹底ぶりには確かに辟易します。はっきりと白黒をつけ、100%悪いんだと断罪するような姿勢はどうにも好きになれません。彼らにとっては仕事なので仕方ない面はありますが、我々がそのまま鵜呑みにしたら元も子もないでしょう。

大切なのは、「どんなに叩くに値する人にも、面白いところはあるし、どんなに立派な人にも変なところがある」という点です。ある人の一面だけを見るのではなく、想像力を持って物事を見つめること。日常レベルに落とすならば、偉そうに説教している会社の部長だって、家に帰れば嫁さんに頭が上がらないだろうな、とか。絶対的な存在などありえないという姿勢を忘れないようにしたいものです。


・引き算ではなく、足し算の幸福を目指す


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 photo credit: eriwst via photopin cc

今の日本は、みんなの意識が「引き算型」なんですね。水も電気も医療もすべて与えられて当然、と思っているからありがたみがまったくない。常に百点満点を基準にするから、わずかでも手に入らないとマイナスに感じて、どんどん「引き算の不幸」が深くなっていく。(p.125)

日本にいると忘れてしまうことがあります。例えば、蛇口を捻ればいくらでも出てくる安全な水。外国では水道水を飲めないことが多くあります。著者は海外での経験が豊富で、世界の貧困もたくさん見てきたといいます。それに比較して日本がいかに恵まれているか。

そうすると、少しぐらいの不平や不満は吹き飛んでしまうんですね。これが私の言う「足し算の幸福」です。自分にないものを数えあげるのではなく、今あるものを数えて喜ぶ。そんなふうにスタートラインを低いところにおけば、不満の持ちようがないと思うのですが。(p.125)

「こうあるべき」という理想を目指すことは大事です。それに届かなかったり、逸脱したりしたとき、マイナスに感じる気持ちもよく理解できます。しかし、手元には確かに幸せがあります。まずはその有り難みを実感することが、すべてのスタートなのです。


・現実と折り合いをつける

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photo credit: Rosa Dik 009 -- OFF - ON via photopin cc

私たちは、決して完全な形で生きているわけではありません。みんな、理想とはほど遠い現実と折り合いながら、どうにか暮らしている。折り合えるというのが、大人の健やかな強さだと思います。そして、身に降りかかった火の粉か砂糖かわかりませんけれど、適当に受け止め振り払って、その場を切り抜けて生きていくしかない気がします。(p.183)

私はこの文章を読んだ時、生きるとはこういうものかと妙に納得したのです。理想を追い求め、努力していく姿は素敵なのですが、現実はどうでしょう。理想を高く掲げれば掲げるほど、現実との乖離が大きくなるはずです。

「思い描いた姿に届かない自分はダメだ」とか、「こうあるべきなのに、アイツはそこから逸脱しているから非難されても仕方ない」とか、そういった考え方は折り合いがついていないのです。0か100かではなく、その間にある曖昧さを認めること。閉塞感のある社会も、他人にとことん厳しい人も、まずは現実との折り合いをつけることが必要なのでしょう。


・まとめ


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photo credit: Kevin_Morris via photopin cc


人生(と、いってもまだ29年ではありますが・・・)を振り返ってみると、うまくいかなかったことの方が多い気がします。学生時代の受験、人間関係などなど、思い描いた姿とは異なる自分がここにいるのです。当記事の冒頭にて、社会に対してあれこれ偉そうに書きましたが、まずは自分自身と折り合いをつける必要がありそうです。

人生がすばらしいのは、予想通りにことが進んだからではなくて、むしろ予想されないことの連続だからこそ、すばらしい。意図しなかったことではあるけれど、それなりに意味があったのだ、ということを発見できたら、その人は、「人生はすばらしい」と言える成功者なんです。(p.222)

ままならない人生ならば、ままならない中で意義を見出す。現代を生き抜く上で大切にしたい考え方が詰まった1冊、ぜひオススメです。


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